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2010年08月30日

槍隊放題2010

【プレリュード】

あれから一年、私は使える時間のほとんどを山へと注いでいた。
それ程、自分の人生に置いて衝撃的だった山旅。

「槍隊放題」

自分にとって、この一年の山歩きは次の「槍隊放題」への修行だった。

ある時は横殴りの雨に打たれるテントで寝た。

ある時は凍り付いた稜線で美しい朝日が登るのを見た。

ある時は-10℃の雪の中でテン泊し、美しい景色を独り占めにした。

ある時は、クレバスにハマり滑落しそうな雪渓の沢をトラバースし敗退した。

そして、どんな時でも常にあの日の先輩方の背中を思い出しながら…

そう、この日の為に…

「槍隊放題2010/鹿島槍ケ岳」

また会えるのだ。
いや、やっと逢えるのだ。あの仲間達に!



槍隊放題2010


現地にて一年振りに再会する顔ぶれに今年は二人の仲間が加わった。

男女七人になった槍隊放題は元気に歩きだす。

この時の感覚を私は言葉で表現出来ない。

とにかく嬉しくて、楽しくて、少し焦る感じ…

槍隊放題2010


とは言え、相変わらず先輩達には付いて行けない自分がいて、今年も仕事上がりでそのまま来たからやっぱり眠たくてふらふらする。

15分だけ途中で眠らせてもらったりして、それでも心配してそんな自分を待っていてくれる先輩がいたりする。

あの時は本当に嬉しかった。

自分にも皆の様な持久力があったらいいな。

やっと、稜線に出た時は全てが晴れ渡った。

稜線の先には目指す冷池山荘、すぐ目の前には劔、立山連峰が手を伸ばせば届きそうな程近くに見える。

1ヶ月前にあそこを歩いたんだと思うと不思議な気分になった。

きっと、なかなか上がって来ない自分をみんな心配したに違いない。

山荘に着く前に思いっきり元気なふりをした。

みんな笑顔で待っていてくれたんだ。

本当に有り難う。



槍隊放題2010


山小屋での宴会は楽しい時間が流れて行く。

この一年、先輩達に話したい事や聴きたい事が沢山あった筈なのに全て忘れてしまう程に新しい時間は過ぎてしまう。

槍隊放題2010



テン場に夕日が眩しくって早すぎる一日が終わろうとしている。

そんなに急ぐなよ...

普段、ソロで登ってる時とは明らかに違う感覚の時間が流れている。

不思議な感じ。

仲間がいるってこんなにも嬉しいものなのか...

槍隊放題2010


その夜は月が眩しく輝いていた。

午前3時、皆もぞもぞと起きだし準備する。

いよいよ鹿島槍ヶ岳ピークへむかうのだ。

キラリと7つのヘッデンが暗闇の中を進んで行く様は地上の流れ星。

槍隊放題2010


蒼い雲海が静かに流れて遥か彼方で夜が溶け出す。

雲の上を歩いたんだ。

槍隊放題2010


朝が来るのは早い。

また新しい一日が始まるのだ。

今日とい言う日は二度と来ない。

だから、7人で過ごすこの山旅を大切にしよう。

槍隊放題2010


確かにこの頂きに7人で登ったんだ。

鹿島槍ヶ岳南峰2889.1m

槍隊放題2010


北峰2842m

全てが茜色に染まる。

そのモルゲンロートの中にいたんだ。

槍隊放題2010


今日、歩く稜線が朝と夜を分けている...

ずっと向うに槍ヶ岳のシルエットが見えて、山も時間も仲間も心も全てが繋がっている事を知る。

きっと、それが「槍隊放題」なのだ。

槍隊放題2010


太陽の高度と光の波長が「出発せよ」と言っている。

テン場を撤収する時はいつも寂しい気持ちになるのは私だけだろうか....

更地になったテン場を見て、ついさっきまで皆のテントが張ってあった事を想像し脳裏に焼き付けた。

槍隊放題2010


月明かりのもと夜露が輝いていたチングルマも優しい色に輝いている。

槍隊放題2010


歩いて来た稜線を振り返る。

あの雲のすぐ隣をずっと歩いて来たんだ。

雲と同じ高さを...

槍隊放題2010


爺ヶ岳ピークから

赤い屋根の少し上。

見えるだろうか?

白く更地になったテン場を。

あそこにいたんだよ。

槍隊放題2010


ほんの少し秋が近づいた8月下旬、空はこんなにも青く太陽が眩しかった事を皆覚えていてくれるかな...

確かにあの日僕ら7人はあの稜線を歩いたんだ。


【登山日】2010,8/23~24 大谷原〜赤岩尾根〜冷池山荘テン場〜鹿島槍ヶ岳(南峰、北峰)〜爺ヶ岳〜種池山荘〜柏原新道〜扇沢

そして松本へ...

槍隊放題2010


「パンカ〜イ!」
下山直前、全員行動予定変更の大ドンデン返し!

関東組も北陸組も全員帰らなかったんだ。

購入済みのチケットを捨て、予定を取り消し、飲んだんだ。

きっと、帰りたくなかったんだ。

うん、きっとそうだ。



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Posted by jun(槍隊放題) at 00:12│Comments(18)
この記事へのコメント
せっかくのストーブデビュー日に不良を起こさせてしまい申し訳なかったです。(汗)しかし・・下山翌日、酷暑の中、我々と歩いたあの方は化け物ですか?
Posted by さんぽ at 2010年08月30日 00:25
前回に引き続き、お世話になりました。感謝!

来年に向け、精進しますよ。
そろそろパッキングしないと、来年にむけて。
鬼には笑わせとけばいいんだ。
Posted by カワム at 2010年08月30日 06:39
さんぽさん

はい。
実は背中に防水処理したジッパーが付いてまして、開けると目が赤く光るらしいです...
動力源は原子力だそうです。
チャイさんが言ってました。

さらに北アに来る前に九州から関東まで車を運転していたんですからとんでもないバイタリティですよね。

私も機械の体が欲しいです。

ストーブは次の北アで必ずやデビューさせますぞ!
Posted by jun(槍隊放題) at 2010年08月30日 06:48
あぁぁぁぁ...
愛の戦士達との山行、ウラヤマシス!
Posted by いのうえ at 2010年08月30日 12:12
こうして見ると、南ピークから見た北ピーク、
ちょいと、かっこよすぎぢやありませんか。
あの山頂の時間を思い出しますなあ...
そういえば一週間前はもう宴会が始まってましたっけ。
どうもお世話になりました。
次は、春の霞沢岳でしょうか。うふうふ。
Posted by いまるぷ at 2010年08月30日 13:18
そうですね~一週間前の今頃は、もうかなり出来上がってましたね!
早いですね~一週間、筋肉痛も消え去り、余韻もなくなり・・淋しいもんです。

junさんとは一年ぶりの再会でしたね、筋金入りの山男に変身しちゃってて
ビックリしちゃいましたよ!来年とは言わず、近い内にまたお山で!
Posted by チャイ at 2010年08月30日 17:02
Junさん、こんばんは^^

今回もいい写真ばかり~!鹿島槍いいですねぇ。
っていうか、やっぱ北ア、いいっ!

素敵なお仲間との楽しい山行、最高でしたね!
Posted by キキキキ at 2010年08月30日 21:52
カワムさん

お疲れ様でした。

翌日のお仕事は大丈夫だったでしょうか?

ふふふっ...我々は朝から平湯で笠ヶ岳を見ながら温泉に浸かってましたよ。
Posted by jun(どどど) at 2010年08月31日 12:44
いのうえ様

ええ、確かに「愛」を感じました。

いまるぷキャンプ場でビバーグしたんですが、先輩の顔が近いんですのっ!
Posted by jun(愛本店) at 2010年08月31日 12:48
いまるぷ先輩

こちらこそ大変お世話になりました!

ええ、酸っぱい思い出は梅干しのエキスの様に後からジワリと出て来ますな〜

はい。こちらはハーネスチエック済みです。
ロープも用意いておきますよ。
いざ霞沢岳ピークへ!
Posted by jun(星になった私) at 2010年08月31日 12:57
はい、チャイさん

ヌルイ赤岩尾根を登るのに満足出来ず自らウエイトを足していた事を私たちは知っています。

ええ、食べなかった「海藻サラダ」の事です。

近いうちにまた後ろにくっついて行きたいですよ〜

お疲れ様でした!
Posted by jun(15分だけ眠らせて下さい!) at 2010年08月31日 13:06
キキさん

北アルプスって色んな表情があって楽しいですね。

東北の山のトレイルも綺麗ですね〜
歩いてみたいですなぁ

あっ!変なポーズで写真撮ってもらうの忘れてた〜
Posted by jun(夏はコレだね) at 2010年08月31日 13:20
うん、そうなんだ。
帰りたくなかったんだ。
あと少しだけ同じ時間を過ごしたかったんだ。
同じ場所で、同じ空気の中で。(ちょっと詩人になれた?)
Posted by わだっち at 2010年08月31日 22:37
初コメです。
ちょこちょこ拝見させてもらってます。
ちょうど今週鹿島槍ヶ岳に登山予定で、あまりの景色のすごさにビックリしました。
2日目は大体どのくらいにテン場を出発されたんでしょうか?
Posted by toshi at 2010年08月31日 23:56
わだっちさん

なれたなれた、詩人だな〜

またテント持って行きましょうね!

うふふ...無駄キャンの事ですよ。
Posted by jun(吟遊詩人) at 2010年09月01日 01:53
toshiさん

いらっしゃいませ〜!

鹿島槍に登られるそうで〜
冷池のテン場からはまだ暗い午前3時過ぎに出発。
左手に劔に沈んで行く月を見ながら南峰を目指しましたよ。

ご来光はピークに着いてしばらくするとやって来ましたのでコースタイムで歩けば大丈夫ですね。

北峰は足場がガレているので、十分に足下が明るくなってから行きました。

素敵な稜線歩きが出来ると良いですね!
気を付けて行ってらっしゃ〜い。
Posted by jun(槍隊放題) at 2010年09月01日 02:08
またあのメンバーと一緒にお山に行けるってだけで1,100キロも走れるってもんです。

決して原子力とかに頼ってませんしw

また近いうちきっとね。
Posted by nut's at 2010年09月01日 19:13
nut's先輩

今回も驚きと感動のたくましさを見せつけられましたよ...

早速、持久力を高めるべくちょっとジョギングを始めてみますよ。

北鎌応援してます!
情報期待してますよ〜。

近いうちにいざっ!!
Posted by jun(999号に乗るんだ!) at 2010年09月01日 21:08
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